一元体制から混合体制へ 5
アメリカ人は拍手喝采をして迎えましたが、ときすでに遅く、軍事力あるいは軍事力を背景にした地政学的な勢力において、アメリカはついにソ連に追いつかれていたのです。
経済力においては、今でもアメリカの方が断然強いでしょう。
GNPでもロシアのだいたい2倍ぐらいはあります。
しかし、経済力というのは生産能力だけではなく、総合的な力です。
総合的なアメリカの経済力は1985年頃にその圧倒的な力は崩れたといっていいでしょう。
なぜかというと、この年、アメリカは有史以来の3つの大幅な赤字に陥ったからです。
よく「双子の赤字」といわれますが、「3つ子の赤字」といった方が正しいでしょう。
まず、財政の記録的な赤字です。
1985年、年間の赤字だけでもついに2000億ドルを突破しました。
当時のレートだと30兆円をはるかに越える赤字です。
次に、貿易の大幅赤字です。
この年、これも記録を大きく更新して、1336億ドルと大変な赤字となりました。
そして第三に、これらからアメリカは、史上初めて大借金国に陥らざるをえなくなりました。
同年、アメリカの対外純債務は一挙に前年の8倍に膨れ上がって、1000億ドルをはるかに越える有様・・・。
アメリカはこうして、世界一の金貸し国から世界一の借金国へと転落し始めたのです。
どうしてこんなことになったのでしょうか。
原因はむろん簡単ではありません。
しかし、直接のきっかけとなった主因の一つは、急激な軍拡でしょう。
ソ連に追いつかれて再び水をあけようとしたのがレーガン政策であり、その「強いアメリカ」政策の第一は軍拡にありました。
それに、前年の84年は大統領選挙の年で、いわゆる「レーガノミックス」に立って、大幅減税という「選挙の贈り物」も行われました。
これでは、財政が急激に悪化するのは当然でしょう。